← BACK TO PROJECT
02

DESIGN REFERENCES

伝統的なワークベンチと現代のモジュール構造

もともと、何かに興味を持つと、そのルーツまでさかのぼって調べたくなる性格だ。

欲しいものがあるのに、なかなか気に入った製品が見つからない。そんなときは、今売られているものを比較し続けるより、その原型や始まりに答えを探すことがある。

ワークベンチについて考え始めたときも、そうだった。

気に入る現代的な作業台が見つからず、どんどん過去へさかのぼっていくうちに、André Jacob Roubo(アンドレ・ジャコブ・ルーボ、1739–1791)が記録した、重厚な木工用ワークベンチにたどり着いた。

300年ほど前のフランスで作られていた木工用のワークベンチ。それだけでもう、かなり好みだ。

どっしりとした構造も、その姿も気に入った。ただし、それをそのまま自分の工房へ持ち込もうとすると、いろいろな面で無理があった。

最初に探していたのは、モダンでありながら、しっかりとした構造を持つ現代的なワークベンチだった。

モダンな木工房に似合うワークベンチ。そう簡単に見つかるはずもなく、探す作業はなかなかうまく進まなかった。そこで、少し方向を変えることにした。

現在販売されている製品を比較し続ける代わりに、木工用の作業台が長いあいだどのような形で作られ、使われてきたのか。まずはそこから掘り下げてみることにした。

André-Jacob Roubo, L’Art du Menuisier, Vol. 1, Plate 11, 1769. Courtesy of the Getty Research Institute / Internet Archive. Public domain.

Roubo Workbenchは、厚い天板と太い脚、そして大きな木材を安定して固定するための構造を備えていた。

構成は単純だが、その目的は明快だった。なにより、長い年月にわたって多くの木工職人に使われ、自らその価値を証明してきたような重みがあった。

形だけを見れば、現在販売されている、部材の太さにまとまりのないワークベンチよりも、はるかに自分の好みに合っていた。

非常に厚く、力強い天板と脚。構造的な安定感がありながら、簡潔な建築的美しさも感じられるデザインだった。

ところが、実際に作って使うことを考え始めると、魅力に見えていたその太く重い構造が、むしろ大きな問題になった。

海外から輸入することは現実的ではない。韓国内できちんと作ろうとすれば、材料についても製作技術についても、かなりの経験が必要に思えた。さらに、自分の求める方向を理解して形にしてくれる製作者を探すのも簡単ではなかった。

そして何より、自分がこれから行おうとしている木工では、18世紀に設計されたワークベンチだけでは十分に対応しきれない、現代的な機械や道具も使うことになる。

伝統や形を尊重するために、現在の作業方法を無理に過去の構造へ合わせる。それはむしろ、少し不自然なのではないかと思った。

そこで、中途半端に伝統的な姿をまねるのではなく、思い切って反対の方向へ進んでみることにした。

受け継ぎたかったのは、重厚な外観そのものではない。作業中にしっかりと踏ん張り、安定して支えてくれる構造への考え方だった。

一方、具体的な構成は、現在使っている工具や収納に合わせて、現代的なものへ置き換えることにした。

The Garage Journal / YouTube – The BF/MFT Workbench Build – Part 1

The Garage Journal / YouTube — The BF/MFT Workbench Build — Part 1

そのころ、The Garage JournalのYouTube動画で、興味深いワークベンチを見つけた。

製作者はヒューストンのJohnson Space Centerを訪れた際、研究施設などで目にしたアルミ構造物とモジュール設計から着想を得たという。そして、その関心は「ねじオタク」ともいえるTom Sachsの作品へとつながっていったと説明している。

そうして作られたのが、80/20アルミプロファイルを使った、4×8ft(約1.22×2.44m)の大型MFTワークベンチだった。

The Garage Journalの説明を借りれば、大容量の収納を備えた4×8ftのMFTテーブルに近い。

The Garage Journal / YouTube – The BF/MFT Workbench Build – Part 4

これは、探していた方向にかなり近い。

木製フレームのように構造そのものが大きな容積を占めることなく、必要な剛性を確保できる。内部を収納として活用できるため、限られた広さの工房にも適しているように見えた。

規格化されたプロファイルの溝は、部品を追加したり、取り付け位置を変えたりする際にも都合がいい。

これから自分でワークベンチを作ろうとしていた自分にとって、これほど貴重な製作経験を共有してくれる資料はなかった。

ただし、完成図面や詳細な設計資料が公開されているプロジェクトではない。

動画を何度も止めながら、フレームの接続方法や、引き出しと天板の関係、下部構造を推測する必要があった。画面に一瞬だけ映る断面や組み立ての順序をキャプチャーし、SketchUp上で全体の比率を組み直していった。

木工やアルミプロファイルを扱い慣れている人なら、動画で省略されている部分まで、すぐに頭の中で組み立てられたのかもしれない。

自分の場合は、数えきれないほどの試行錯誤を重ねながら、ひとつずつ読み解いていくしかなかった。

The Garage Journalのワークベンチを分析し、それをもとにデザインした初期案。

ここから先は、複製というより、むしろ「翻訳」に近い作業だった。

The Garage Journalの基本的なアイデアを出発点にしながら、所有しているシステナーの大きさと数、求める作業高さ、ワークベンチを置く空間の構成、キャッチトレーと電源、そして今後製作するモジュールを基準に、構造を描き直していった。

このMFTワークベンチは、The Garage Journalがなければ実現できなかったプロジェクトだ。

ここまで見に来られることはないと思うけれど、この場を借りて感謝を伝えたい。

設計の出発点

Roubo Workbench
作業の中心として、しっかりと支えてくれる堅牢で安定した構造

The Garage Journal 4×8 MFT Workbench
アルミプロファイルとモジュール式フレーム、システナーのための体系的な収納方法

参考リンク

NEXT · 03FUNCTION & LAYOUT

作業の流れに合わせた機能と構造