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WORKBENCH CONCEPT

自分のためのワークベンチを考える

木工を始めてまだ1年あまり。それなのに、自分でワークベンチを設計しようとしている。

すでに世の中にはよくできた製品がたくさんあり、長い時間をかけてその使いやすさが確かめられてきた伝統的な形もある。それでも、あえて一から考え直してみることにした。経験だけを考えれば、もう少し先まで待ってから取り組むべき、少し気の早い挑戦なのかもしれない。

なにしろ、これまで実際に使ったことのあるワークベンチは、ほんの数種類しかない。既存の作業台が抱える問題を専門的に分析できるほどの知識も、もちろんない。

どのくらいの高さならさまざまな作業に無理なく対応できるのか。どのような構造なら長く使い続けても十分な強度を保ち、その役割をきちんと果たしてくれるのか。そうしたことを自信を持って語れる段階でもない。

ただ、木工房でさまざまな作業を続けるうちに、ひとつだけはっきりしたことがある。

少なくとも、これから自分が使いたいワークベンチは、今まで使ってきたものとは少し違う姿であってほしい。

「ワークベンチは、木工の始まりであり、終わりでもある。」

木工を学ぶなかで、そして数多くのYouTube動画のなかで、何度も耳にした言葉だ。最初は少し大げさな表現だと思っていた。

実際に木を切ったり、貼り合わせたりするのは、さまざまな木工機械や道具だ。それに、世の中には魅力的な道具がいくらでもある。

それならワークベンチは、材料を載せ、その上でいろいろな道具を使うための、大きくて丈夫なテーブルであれば十分なのではないだろうか。

木工房での授業風景。アルミフレーム製のワークベンチ。

実際に作業をしてみると、ワークベンチは思っていた以上に多くの役割を担っていることに気づいた。

材料をどこに固定するのか。必要な道具をどの方向から取り出すのか。作業中の道具を一時的にどこへ置くのか。それだけでも作業の流れは変わり、天板の幅や奥行きによって動き方も変わってくる。

下部の空間はもちろん、エプロン部分に使い終えた油のついた手袋を引っかけておくことまで含めれば、隅々にそれぞれの使い道があった。

木工房での授業風景。無垢材で作られたワークベンチ。

通っている木工房だけでも、構造や形の異なるワークベンチが数種類ある。同じ作業をしていても、使う作業台によってその流れはずいぶん変わった。

良いワークベンチとは何かを明確に説明することはまだできない。それでも、自分に合わない作業台がどのような不便を生むのかは、少しずつ分かるようになってきた。

もちろん、既製品を探さなかったわけではない。

良い製品があるなら、それを買って使えばいいと考えるほうだ。何もかも自分の好みに合わせて作るほど、まめな人間でもない。

伝統的なヨーロッパ式のワークベンチから、MFT天板を備えた多機能テーブル、収納を重視したキャビネット型の作業台、ある程度仕様を選んで注文できる製品まで、かなり長い時間をかけて探し、詳しく調べてもみた。

どれにもそれぞれの良さはあったが、自分が求める条件をすべて満たすものは、結局見つからなかった。

求めていたのは、単に大きくて丈夫なテーブルではなかった。

  • Festoolの木工機器を中心に、MFTアクセサリーを無理なく活用できる広い穴あき天板
  • 増え続けるSystainer(システナー)を作業台の中に整理しながら、単なる保管ではなく、実際の作業でも使いやすい収納方法
  • MFTホールを使うとき、天板の下側からも簡単にアクセスできる下部空間
  • 前後どちらからでも出し入れできるシステナー収納と、測定工具などを整理するための独立した引き出し
  • すべての側面からクランプで材料を固定できる、アルミプロファイル構造のクランプホール、または独立したバイス
  • 電源を手の届く位置に置きながら、ケーブルやコンセントはできる限り視界から隠せる構造
  • 将来製作するSaw BenchやRouter Tableなどと自然につなげられるモジュール性
  • 多くの機能を備えながら、工房に置いたときにはひとつの落ち着いた家具に見える外観
ワークベンチの初期ラフスケッチ。MFTホール、システナー収納、モジュール構造について検討していた段階。

ひとつひとつの条件だけを見れば、それほど特別なものではない。

MFT天板も、システナー用の引き出しも、アルミプロファイルも、すでに木工用の作業台で広く使われている。このプロジェクトの目的は、新しい部品を発明したり、これまで世の中になかったものを作ったりすることではない。

すでにある方法のなかから自分の作業に必要なものを選び、それぞれが互いの邪魔をしないよう、ひとつのワークベンチの中にきれいにまとめる。どちらかといえば、そういう試みに近い。

木工の専門家でもない自分がこんな変わったことに挑戦できた背景には、これまで続けてきたいくつかの経験がある。

木を削ったり切ったりする木工を始めてからは、まだ1年少々。初心者のなかでも、かなりの初心者だ。

一方で、これまでギャラリーやアトリエの建築を設計し、実際にいくつかの建物を完成させてきた。専門家たちと一緒に、自宅のインテリアにも何度か手を入れている。その過程で、必要に応じて自分で設計し、モデリングして、今も使い続けている家具は数十種類にのぼる。

建築設計と比べれば、家具づくりはスケールも複雑さもずっと小さく、比較的気軽に取り組める。

もともと家具や照明、デザインプロダクトが好きで、長いあいださまざまな製品を買い、実際に使い続けてきた。少なくとも、自分がどんなものを好むのかについては、それなりの確信があった。

もちろん、経験よりも欲が先に立った部分もある。

必要な機能だけを手早く整理していれば、もっと単純に、もっと簡単に作れたはずだ。それでも、自分で作り、これから頻繁に使うものだからこそ、少し面倒でもきちんと作りたいと思った。

あれこれ細かなところまで気にしているうちに、準備だけでもずいぶん長い時間がかかってしまった。

初期のSketchUp設計。素材も構造も、最終的な姿とは大きく異なっている。

そして、こんなことを実際に始めるうえで何より大切だったのは、作ろうとしているものの価値を、すぐに証明しなくてもいいという心の余裕だったのかもしれない。

お金を稼ぐためでもなければ、仕事として作るものでもない。これがなくても、特に困るわけではない。

だからこそ、ただ自分がやってみたいことについて、長い時間をかけて考えることができたのだと思う。

余白や無駄のなかから、創造性が生まれることもあると考えている。

効率だけを求めていたら生まれなかったはずの問いを、あえて長く持ち続ける。すでに十分使えるものを、それでももう一度考え直してみる。そんな過程から、何か新しいものが生まれることもあると信じている。

ともかく。

この製作記は、完成したワークベンチだけを見せるために書くものではない。

なぜこれを作ろうと思ったのか。その過程で何を参考にしたのか。どの条件を捨て、何を残したのか。そして、役に立つことから、ひょっとすると何の役にも立たないことまで、どんなことを考えてきたのか。

あとから振り返ったときにもひとつひとつ思い出せるように、完成した結果よりも、そこへ至る過程に少し重点を置いて記録していこうと思う。

PROJECT BRIEF

プロジェクトの目的
Festool製品とシステナーを多く使用する個人の木工作業者に向けた、カスタムワークベンチの製作

主な機能

  • 広いMFT天板
  • 多数のシステナーを収められる収納
  • 材料を一時的に置き、MFTアクセサリーへ下側からアクセスできるキャッチトレー
  • アルミプロファイルを活用し、側面まで作業に使える構造
  • 天板の近くに配置しながら、できる限り目立たないよう整理した電源コンセント
  • 移動と完全な固定の両方に対応できる下部構造
  • 長期的なモジュール拡張を考慮した構造

設計ツール
SketchUp

製作協力
WOOS

拡張計画

  • Saw Bench
  • Router Table
  • MFTインターフェースアクセサリー
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伝統的なワークベンチと現代のモジュール構造